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田中さんは、セットされたスマホをちらりと見ながら、どこか落ち着かない様子でした。
「こんなの撮って、意味ありますかね……?」
構えに入る田中さんの背中には、「まあ、それなりのスイングが撮れるだろう」という淡い期待が滲んでいました。
田中さんは毎晩、ローリー・マキロイの動画を見ているといいます。
トップの形、切り返しの間、フィニッシュの美しさ。
何度も再生を繰り返し、理想の姿に自分を重ね——そして、こう信じていました。
「自分も、だいたいこんな感じで振れているはずだ」
スイングは、一瞬でした。
ボールは真っ直ぐ、やや低めに飛んでいく。
田中さんがスマホに近づき、画面をのぞき込みました。
私も黙って、その隣に立ちました。
自分のスイングを見た田中さんは、言葉を失います。
テイクバックは浅く、切り返しは急ぎすぎている。
インパクトで左肘が引け、フォローは小さく、フィニッシュは不安定に揺れている。
5秒間の沈黙の後、田中さんがぽつりと溢しました。
「……誰? このおじさん……ショックです。自分では、もっと違うイメージで振っていたのに」
「そうなんです。でも田中さん、これが一番大事な瞬間なんですよ」
「え?」
「ショックを受けた、今この瞬間が、上達の始まりなんです」
なかなか上達しない人には、共通点があります。
それは、自分のスイングを一度も客観的に見たことがないことです。
その代わりに、「できているはず」という脳内のイメージだけを頼りに練習を重ねてしまう。
しかし、感覚は嘘をつきます。
体の中から感じる動きと、外から見える動きは、まるで別物です。
「じゃあ、マキロイの動画を見ていたのは無駄だったんですか?」
「いいえ。理想を頭に入れるのは大切です。ただ——」
私はスマホの画面を指差しました。
「地図を持っていても、今自分がどこにいるか分からなければ、目的地にはたどり着けません」
田中さんが、もう一度動画を再生しました。
その目は、さっきまでの困惑から、現実を捉えようとする「観察者の目」に変わっていました。
「これって、直せますか」
「直すというより、田中さんの体に合った形を、一緒に探しましょう」
マキロイのスイングは、彼の筋力と柔軟性で成り立っています。
田中さんのスイングは、田中さんの体格から生まれるものです。
同じである必要なんてない。
それは欠点ではなく、ただの「事実」なのです。
それからの田中さんは、変わりました。
マキロイの動画を今も見ていますが、その後に必ず、自分の動画を見るようになりました。
理想と現実。
そのギャップを感情ではなく「情報」として受け取れるようになったのです。
最近、田中さんは笑ってこう言います。
「撮影は、最強のレッスンですね。コーチがいない日も、スマホが『もう一人のコーチ』になってくれるから」
田中さんの100切りは、理想のプロを追いかけた夜ではなく、初めて自分を直視したあの日から、静かに動き始めたのです。
田中さんと同じように、 「だいたいこんな感じで振れているはず」 そう思っていませんか。
感覚は、嘘をつく。 でも、映像は嘘をつかない。
撮れば、分かります。 分かれば、変われます。
スマホスタンドは、その一番最初の道具です。
・どこでも置ける・挟める
・360度自由自在な角度調整
・風や振動に強いホールド力
・圧倒的なコンパクトさ
・進化がわかる「定点観測」に最適
\続きを読む/第3話 スイングの基礎とは?



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